『ラヴェニール文明の糸 ─ 光糸と輝糸』(ルージェ・ネヴィルーズ)
ラヴェニール文明時代の伝説的な舞踊であるリューズの衣装や舞剣などにも使われていたことで知られる、光糸や輝糸の「光る仕組み」や「複雑に変化する色彩」の秘密について、その構造の解明と再現に成功したルージェ・ネヴィルーズが、一般読者に向けに解説した科学エッセイ。
原書(初版)言語:セレンディール語
著者情報
ルージェ・ネヴィルーズ:ラディールの生物学者。生物の「色」についての世界的権威。ラヴェニール文明で使われていた、光糸と組み合わせて使われていた美しい輝糸(きいと)が、生物の構造色を応用したものであったことを解明し、また、その技術の復元に成功した。主な著作に『生物構造色入門』『輝糸の研究』『ラヴェニール文明の糸 ─ 光糸と輝糸』『紫色生物図鑑』などがある。
訳注
リューズ
ラヴェニール文明時代の舞踏芸術。
常軌を逸した訓練と予算によって神懸かり的ともいえる領域に達し、観るものを魅了した。非人間的なまでに美を追求したラヴェニール文明が創り上げた、瞬見永執の美貌、人間離れした身体能力などを持つ伝説的な人種であるセレンディール人にしか踊れないため、「リューズ」と「セレンディール人」は不可分性を帯びたイメージとなっている。
この舞踊は命懸けの実戦形式となっており、美の象徴であるセレンディール人の対照として、犯罪者や奴隷、平民を敵役として出演させた。その多くはほぼ確実に死に至ったが、もし演舞中に、踊り手であるセレンディール人の身体(髪でもよい)に触れることができれば、莫大な報奨金及び身分の昇格といった栄誉、犯罪者であれば恩赦が与えられた為、志願者は後を絶たなかったというが、実際にそれを成した者はほぼ皆無であったことから、「リューズ」及び「セレンディール人」には、「死」のイメージが根底にある。
現代では人道的観点からも完全な再現はほぼ不可能であるとされているが、多くの芸術家がその再現を見果てぬ夢として追い続けており、その挑戦自体が、文学や映画、劇など、様々な作品の題材となっている。
舞剣
一般に「舞剣」と言った場合、ラヴェニール文明時代の舞踏「リューズ」で使用される「人類が生み出した最も美しい物」とまで絶賛される美しい剣を指すことが多い。
材料となる複数の金属や化学物質の配合および鍛造法、磨きなどの、複雑且つ精緻を極める工程により、微かな燐光を放ちながら見る角度によって繊細に変化する玄妙な色合いや高雅な質感、流麗且つ精巧な形状により、見る者を魅了する。