『妄想王』(ヤビ・イリアビー)
『敗王記』にて、リーデライ人初のジェルド・ルードル賞受賞者となったヤビ・イリアビーによる、「妄想王」ルドリーデル・レーヴェナーの伝記小説。作中の「まさに『妄想王』の名に恥じぬ恥ずかしい男である。」という一文が流行語となり、「妄想王」の部分を様々に入れ替えたパロディが大量に作られた。
原書(初版)言語:リーデライ語
著者情報
ヤビ・イリアビー:リーデライの小説家。実在した「失敗者」とされる人物を題材とした作品が多く、本人が名付けたわけではないが、その作品群は「失敗者列伝」としてよく知られ、愛読されている。ラヴェニール文明後期に書かれた、ルーレイ・ラナディーレリーやヴェルナトールなどの悪行を詳細に記録している作者不明(個人による執筆ではなく、ラヴェニール文明時代に、「人間として扱われなかった人々」により、書き継がれてきた)の書『狂王記』に最も大きな影響を受け、また、愛読してきたと公言している。『狂王記』への敬意を込めて執筆し、タイトルをつけた『敗王記』は、リーデライ人初のジェルド・ルードル賞及びエレルリーズ文学賞の同時受賞作という歴史的快挙となった。
訳注
ジェルド・ルードル賞
『取り憑かれた人々』シリーズで知られる伝記作家ジェルド・ルードルを記念して創設された、優れた伝記作品に贈られる賞。ヴィーレ・クレグディール賞と並ぶ、ノンフィクションの最高賞。
ルドリーデル・レーヴェナー
レゴールの元貴族。
エレルリーズ・レーヴェナーを輩出したレーヴェナー家に連なる家系の末裔として生まれたが、セレンディール文明誕生により、「全ての生来の特権階級の完全廃止」が実施され、「平民」になってしまったことに「生まれた時から平民であった者には想像をすることも叶わぬほどの屈辱」と「世界から高貴さが失われることへの深い憂慮と義憤」を感じ、これに耐えられず、同様の憤懣を持つ元貴族階級の人間たちを集め、セレンディール文明へのクーデターを起こしたが、あっさり鎮圧され、処刑された。
レゴール王になることと、レーヴェナー家(エレルリーズ・レーヴェナーの失踪で完全に途絶えている)の再興を夢見たが叶わず悲惨な死を遂げたが、客観的に見て、あまりにも非現実的な、妄想としか言いようがない無様なクーデターであったため、現在でも「現実を直視できない愚か者」の代名詞的存在となってしまっており、「妄想王」という、一応「王」の名で呼ばれるようにはなった。
なお、一般には、「ルドリーデル・レーヴェナー」ではなく、「レーヴェナー」を外して「ルドリーデル」とだけ呼ばれることがほとんどだが、その理由は、「エレルリーズ・レーヴェナー」の名を汚すことを忌避する心情からであると思われる。図々しいことに対する義憤を表す「レーヴェナー名乗るなルドリーデル」などという言葉があるほど。