『通過儀礼を終えて ─ ボフリ乗りをやり遂げた勇者たちの言葉』(キール・レヴィルク)
世界初の「ボフリ乗り」研究で知られる文化人類学者キール・レヴィルクによる、「ボフリ乗り」達成者総勢三千人以上にも及ぶインタビュー記録。
特筆すべきは、全てのインタビュー対象者に対し、「実行する前」にも詳細なインタビューを行っているということである。つまり、キール・レヴィルクは三千人以上の若者たちの「ボフリ乗り」を文字通り、見守ってきた。通過儀礼「前」と「後」のインタビューを読み比べることで、「ボフリ乗り」によって得られる「何か」を見つけられると考えたのだ。その成果は、初の「ボフリ乗り」研究書である記念碑的著作『ボフリ乗り ─ ラディール海洋民族の通過儀礼』にまとめてある。
ヴィーレ・クレグディール賞(訳注:ノンフィクション賞の最高峰とされる賞)受賞作。
原書言語:レクール語 / ヴェリアート語(併記)
出版社:航海書房
著者情報
キール・レヴィルク:ヴェリアートの文化人類学者、写真家、料理人。専門は、ラディール大陸の海洋民族の儀式。レクール族を主なフィールドワークの拠点とし、周辺の部族についても調査をした。
自分を親のように慕って助手にもなってくれていたレクール族の青年をボフリ乗りで喪ったことから、ボフリ乗りという儀式を専門として研究するようになった。
ボフリ乗りに挑戦した人々3000人以上へのインタビュー集『通過儀礼を終えて ─ ボフリ乗りをやり遂げた勇者たちの言葉』でヴィーレ・クレグディール賞を受賞、ボフリ乗りやレクール族のファッション、料理などの記録に対して、リーネイク賞を受賞。
主な著作に『ボフリ乗り ─ ラディール海洋民族の通過儀礼』『レクール・ファッション』『レクール族とリディン料理を食べる』『ボフリ人形の作り方』(編著)などがある。
訳注
ボフリ
巨大な牙が特徴的な、大型の水棲生物。肉食性で、ソウコウリディンなどを捕食する。
非常に気性が荒く、古から漁師やダイバーに恐れられており、「気性が激しい」「凶暴」「乱暴」の代名詞的存在となっている一方、自分より大きなものにも臆せず向かってゆく様が「勇気あるもの」として讃えられ、勇敢さや強固な信念の象徴として、武器や紋章などのモチーフとされてきた。
良くも悪くも「(性格や信念などが)変わらない」ということのたとえとして用いられることが多い。
生物に関連する300万以上もの膨大なことわざを世界中から集めたディレル・アーティによれば、ことわざの数が最も多い生物は、ボフリであるという。その数、なんと30万以上である。ボフリが、どれほど人類の関心をひいてきた生物であるかが、ことわざからも圧倒的な迫力を以て証されている。
ラディールボフリ
