『常響の狂苦』(作者不詳 / 翻訳:リルカ・アルール)

ルドルーズ文明時代の、激しい耳鳴りに精神を病み、狂気に陥った王と、その結果、引き起こされた大惨事「狂響の凶」に苦しんだ人々がタマクルムのおかげで救われる、という伝説を描いた、作者不明の長編詩『常響の狂苦』が、「クルム研究の神様」リルカ・アルールによる名訳(セレンディール語)で甦る。

言語:セレンディール語

原書(初版)言語:ルドルーズ語

出版社:クルム書房

訳注

タマクルム

ルドルーズ湖固有種のクルム類。

もともと、丸みのある体型が特徴的なクルム類だが、タマクルムはその丸みがより強く、名の通り球体に近い。

ルドルーズ文明文明をはじめ、ルドルーズ湖、通称「砂海」では、タマクルムは神が愛する生きものとされ、その穏やかで好奇心が強く、友好的な性質から、人類の友として親しまれてきた。

夜になると発光する種が多いことから、古代より宇宙的なイメージを喚起させる存在として認識されてきており、ルドルーズ湖を宇宙、タマクルムを星や隕石などに見立てた表現(「星屑湖」「流星映し」など)が多い。

ほぼ似た球体状の体型に、数万種にも及ぶ、様々な模様や色を持ったタマクルムがいるため、それぞれの種に、模様から連想される事物の象徴(例えば、雷光のような模様を持つイカズチタマクルムは、「雷」「電気」「(人類を雷から守る)守護者」のように)とされ、神話や文学、芸術や工芸、服飾など非常に幅広い分野でモチーフとして用いられ、また「泳宝」「湖中星」「湖泳星」など、古来より多彩な呼び名で親しまれてきた。

ミミモリタマクルム

本作に登場するタマクルム。

「ミミモリ(耳守り)」の名の通り、耳を守ってくれると伝えられてきたタマクルム。何故、耳を守ってくれると思われるようになったのかについては、耳を思わせる特徴的な模様ゆえではないかと言われているが、確かなことはわかっていない。