『リーン狂い』(リーズ・ヴァナー)

金を得る為にリーンハンターとなったのにも関わらず、リーンの美しさに魅了され、見事捕獲したリーンを手離すことを拒んで更に多くの種のリーンを捕獲するために借金を重ね、破産し、結果、得たリーンも全て奪われて自殺した悲惨な人物として知られるリーンハンターであるリダ・ジーディルを書いた伝記文学の傑作。

求めていたもの(レムール)は得られなかったが、レムール探しの旅で豊かな人間関係を築き、幸福な生涯をおくったゴード・イルヤを書いた『レムール ─ レムールを見ることに生涯をかけ、レムールを生涯一度も見なかった男の話』とは明確な対比関係にある作品となっている。

原書(初版)言語:ヴェリアート語

出版社:航海書房

著者情報

リーズ・ヴァナー:ヴェリアートの小説家。ゴード・イルヤの生涯を描いた傑作伝記『レムール ─ レムールを見ることに生涯をかけ、レムールを生涯一度も見なかった男の話』で知られる。本書はセレンディール文明誕生以前に、レゴール語やナーディル語、レヴァーク語、レスターン語、ティルトレーズ語など多言語で翻訳され、世界中で愛されて超ロングセラーとなった。セレンディール文明創始者ラヴェニールの後継者、ラクール・ルーネリーが本書を愛読していたことはよく知られている。

訳注

リーン

シルエットがリズディール類(竜鳥)に酷似している為、「小さなリズディール」とも呼ばれる虫。

セレンディール文明以前のレゴールなどでは、ステータスシンボルとして貴族や富裕層に絶大な人気があり、一匹を入手するために豪邸を建てられるほどの巨額を費やした。

この為、リーン類専門のハンターもいたが、リーン・ハンターの多くは命を落としたり破産したりするなど、悲劇に見舞われていたことでもよく知られている。そして、その多くは命を賭けねば生涯、悲惨な暮らしから逃れられないような社会的弱者であった。

そういった歴的背景からリーンには、欲望や虚栄心、富、熱狂、また、それらによる破滅といったイメージがあり、文学や美術、ことわざなどに象徴として用いられる。