『ボーフィ』(アザト・ナーガイ)
ボフリの精神が乗り移ったムーフィとその飼い主である少女の珍妙な交流を描いたコメディ作品。アザト・ナーガイ監督のデビュー作にしてゴノイーエルサーカス団の「映画サーカス」初作品としても知られる。
「ボーフィ」は現在でも非常に人気のあるキャラクターとして、映画や旋律画、イラスト、また他作品(ロム・クルムル『ムグー』シリーズなど)の中にも登場するなど、活躍を続けている。
原書(初版)言語:ヴェリアート語
出版社:ゴノイーエルサーカス団
著者情報
アザト・ナーガイ:ヴェリアートの映画監督、映像作家。ティルトレーズ系移民出身で初の映画監督となり、『コンテスト・ミッション』で、ヴェリアート映画祭の監督賞、作品賞などを受賞するなどの成功を収め、ヴェリアートやレゴールの移民達に多大な影響と希望を与えたことで知られる。主な監督作品に『ボーフィ』『巨大シュゾウムシ大発生:人酒醸造』などがある。
訳注
ボフリ
巨大な牙が特徴的な、大型の水棲生物。肉食性で、ソウコウリディンなどを捕食する。
非常に気性が荒く、古から漁師やダイバーに恐れられており、「気性が激しい」「凶暴」「乱暴」の代名詞的存在となっている一方、自分より大きなものにも臆せず向かってゆく様が「勇気あるもの」として讃えられ、勇敢さや強固な信念の象徴として、武器や紋章などのモチーフとされてきた。
良くも悪くも「(性格や信念などが)変わらない」ということのたとえとして用いられることが多い。
生物に関連する300万以上もの膨大なことわざを世界中から集めたディレル・アーティによれば、ことわざの数が最も多い生物は、ボフリであるという。その数、なんと30万以上である。ボフリが、どれほど人類の関心をひいてきた生物であるかが、ことわざからも圧倒的な迫力を以て証されている。

ムーフィ
小型の草食動物。全身がフカフカの毛に覆われていることから、ケダマとも呼ばれる。攻撃性皆無と言っていいほどに、大人しくのんびりとした性質で、古の時代から心和ませる動物であるとして愛されてきた。
捕食動物に捕まって飲み込まれそうになると、尾を瞬時に数倍の大きさに膨らませ、喉に詰まらせてたまらず吐き出させる、というユニーク且つ平和的な防御手段を持っていることから、この生態に関連したことわざや格言が多い。
毛の有用性などについて称えられる一方、(飼育下では特に)ほとんど何も気にしないような振る舞いに見えるため、良くも悪くも物事に無頓着であることの表現としてよくことわざや民話などで登場する。

ゴノイーエルサーカス団
ヴェリアートの伝説的なサーカス団。
創設者はヴァルーズ・ゴノイーエル。移民家庭に生まれ、映画脚本家を目指すも、貧困や様々な偏見に苦しんでいた時代のアザト・ナーガイを迎え入れ、彼を監督・脚本家としてオリジナルの映画をサーカス団員たちで自主制作し、その物語や設定を主軸としたサーカス「映画サーカス」を披露、それが世界的な評判となり、また各方面からの高い評価も得て、唯一無二のサーカス団として世界的な大成功を収めた。
セレンディール文明誕生時点まで、世界最高峰の大サーカス団であったが、セレンディール法により、動物を使うパフォーマンスのほとんどを禁じられたことに対して従わなかった為、強制的に解散され、その長い歴史に幕を閉じた。セレンディール文明創始の、闇の側面として例に挙げられることが多い。